工事受注に苦戦するような時代

それでは普通、建設会社にはいくらくらいの未収金があるのかというと、これが結構な額なのだ。新築マンションの工事代金は普通、手形で支払われることが一般化している。特に建設業界全体が工事受注に苦戦するような時代は、工事発注者である分譲業者の発言権がますます強くなるわけだ。そうなると手形を振り出してから代金が決済されるまでの期間を分譲業者に有利に調整することで、工事代金の大部分が建物竣工後に払われるような支払条件の工事請負契約も可能なのである。たとえば、工事請負契約時に工事代金の一○パーセントを小切手で支払った後は、建物上棟時に四○パーセントを一五○日手形、竣工時に五○パーセントを二四○日手形というような支払条件の工事請負契約も実際に締結されている。マンションの場合、上棟は竣工のだいたい三ヵ月ないし四ヵ月前だから、上棟の時に受け取った手形が落ちるのは、竣工して一、一一ヵ月後である。つまり場合によっては一年以上にも及ぶ工事期間中、建設会社が受領したカネは、工事着手金としてのわずか一割だけということになる。そんな状態で、もし仮に分譲業者が工事途中に倒産でもしようものなら九割のカネが未収ということになってしまうのだ。分譲業者から工事代金の支払いが滞ったというようなニュースが流れれば、われ先に敷地なり建物なりを押さえようと押しかけてくるのは、建設会社だけではない。分譲業者が土地を購入するにあたっての資金調達は、百パーセント自己資金で、ということはまず考えられない。

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