たしかにこのような手前勝手な理屈で、業者が工事内容を工事中に変更できないように、宅建業法上ではいくつかの制約が設けられている。ひとつは、宅建業法第一一一三条にある広告開始時期の制限。さらに、同法第三五条一項五号にある工事完了時における形状・構造等の書面による説明。そしてもうひとつが、同法第三六条にある契約締結時期の制限である。つまりこれらの法律をわかりやすくつなげて説明すると、建築確認等の役所による図面審査が通っていれば広告を行うことができる。そのかわりパンフレットを用意し設計図書等をきちんと閲覧できるようにすることで、工事が竣工したら建物がどういう形状でどういう構造のもとに建つのかを分譲業者は買い主に対して説明しなければならない。けれども逆にこういう説明さえすれば、後は工事に着手していようといまいと、建築確認等が取れていれば自由に売買契約締結ができる、というのである。これら法律上の制限の根底には、建築確認まで終了していれば建物について大きな変更はまずありえないだろう、という考え方がある。たしかに建物に大きな変更があれば建築確認の申請し直しということになり、買い主に対する建物に関するそれまでの説明内容が変化してしまうわけだから、営業行為そのものも一からやり直しということになる。そんなムダなことは分譲業者も望まないだろうから、売買契約は建築確認以後にという一つの区切りを設けておけば、契約済みの買い主に迷惑がかかるような工事途中の変更は生じないだろうというのが法律の趣旨なのだ。ところがここに、机上の法律と現場の実態との間のズレがある。
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